旧日本海軍や海上自衛隊と縁が深く、「海軍料亭」と呼ばれた神奈川県横須賀市米が浜通の料亭「小松」=山本あや子さん(68)経営=で16日夕に発生した火災は、木造2階店舗を全焼させ、約14時間後の17日午前7時5分頃に鎮火した。
横須賀署と市消防局の実況見分は雨天で中止され、18日午前9時から行われる。
小松の隣接地に横須賀中央消防署があり、火災直後から消防車両計23台が消火に当たったが、火の回りが早かった。全焼した店は、昭和初期の1933~34年頃の建築だったという。
山本さんの親戚で弁護士の呉東正彦さん(56)は「東郷平八郎や山本五十六らの掛け軸などは全部ダメだったと聞いたが、歴史ある料亭を一日も早く再開してほしい」と気遣った。
小松は戦時中、日本の委任統治領だった南洋のトラック島に「支店」を出していた。元海自呉地方総監で元海将の山田道雄さん(71)は1996年の遠洋航海で同島沖を航行した際に写真を撮り、帰国後、先々代の女将おかみにプレゼントしたことがあった。「店ではずっと、私の写真を応接間に飾ってくれていた。残念でならない」。山田さんは18日にも予約を入れていたという。
横須賀市の吉田雄人市長は「昨年、創業130周年を迎え、今後も歴史を積み重ねていくと思っていただけに、今は言葉もない」とコメントした。